昨日、電車の中で次のような会話を聞いた。
「強い女は強い男にくっつき、弱い女は弱い男にくっつくものなんだよ」
「そうそう、同じぐらいの人がカップルになるよね」
なるほど、たしかに、直感的ではある。
似たような者が近づくという意味でも説得力のある論だと思う。
当初、これを聞いた時はすぐに納得した。特に補足することはないと思った。
しかし電車が3駅ほど進んだあたりで「本当か?」と疑問に思うようになった。
たしかに女がより強い男を求めると仮定すると、強い女はより強い男に向かう可能性が高い。
これは生物学的に考えて妥当である。
しかし、強い男の方は本当に強い女を望んでいるのだろうか。
強い男は我が強いため、むしろコントロールし易い弱い女を求めるケースもあるのではなかろうか。
ハイスペックで弁が立つ女は、ビジネス上は重宝されても、付き合いにおいては敬遠されるのではなかろうか。
そうなると、微妙に均衡点が歪み、先ほどの論は完全には成立しなくなる。
「強い男と弱い女」という組み合わせも生じ得るからである。
となると、消去法で「弱い男と強い女」という組み合わせも生じる。
これはアリなのだろうか。
そういえば、ぱっとしない男がやたらモテる漫画やアニメがあるが、リアルでその変化が生じるのは、
「強い男と弱い女」ばかりがくっついて「弱い男と強い女」だけが残るからかもしれない。
さらに言えば、もし女がこの変化を見越して、強い男を入手するために、わざと弱いフリをし始めたら?
直感的な論はますます歪んでいくのではなかろうか。
そう、偽りのインセンティブも考慮する必要がある。
表層的なことだけで考えてはいけない。見えているものがすべてではない。
さらにさらに、そうなると女の場合は弱いからといって彼氏がいないとは限らない。
一般に強いものから順にカップルが成立するのが自然界の相場であり、
男の場合はそれだけ考えていればいいが、女の場合はそうとは限らない。
ということは弱い女だから大したことはないと侮ってはいけない。
ものすごい強い彼氏がいる可能性もあるわけだから。
あれ、そうなると女の方が楽なのでは?
そういえば「普通そうなのにヤクザみたいな男を連れている女が一番怖い」
と昔、誰かが電車の中で力説していたが、これは今言った一連の変化を示唆しているのかもしれない。
とかいろいろ考えていたら最寄り駅に着いた。
これ以上考えると考え過ぎてハゲてしまうので、私は考えることをやめ、パスモを取り出した。
カップルの成立に関しては概ねの傾向は得られると考えられるが、
様々な要因で決定するものなので、安易に画一的に考えるのはやめた方がいい。
突き詰めると打算的に人を選ぶ人生になってしまうので、ランダムな事象だと思っておいた方が精神衛生上はよい。