日本のGDPの推移を見直す
日本のGDPの推移を見直す。
ツイッターでリツイートされた内容(https://twitter.com/akamemukan/status/1051336239486361600)をまとめてみた。
なお、この内容はニコニコ静画のニートの思想(http://seiga.nicovideo.jp/watch/mg355125)でも確認できる。
(閲覧するためにはニコニコの無料アカウントが必要)
哲学ニュースnwk 各国の「成長率」ランキングがすごいと話題に
(http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/5418274.html)によると、
日本の1995~2015年までの名目GDP成長率は断トツの最下位。
唯一の衰退国家で、成長率はマイナス20%。
しかしこれには数字のトリックが2つ含まれている。
1つはUSドルベースで見ているという点。
世界経済のネタ帳→USドル/円の為替レートの推移(http://ecodb.net/exchange/usd_jpy.html)によると、
1995年は1ドル約94円で、2015年は1ドル約121円。
これだけ為替が違うとまったく同じGDPでも、ドルベースにすると、かなり小さくなる。
たとえば為替が1ドル100円の時、1万円のものは100ドルだが、1ドル200円になると50ドルになる。
国内の円では同一だが、為替が変わるとドルでの価値は変わってしまう。
円安なのでよりたくさんの円を用意しないと同じ1ドルにできない。これが1つ目。
もう一つは物価の影響。
日本はデフレ傾向である。
ゆえに名目で調べると値が低くなるのは当然で、実質も見る必要がある。
名目値から物価の影響を除いたものが実質値。
式でいうと名目GDP成長率=実質GDP成長率+物価上昇率。
世界経済のネタ帳→日本のGDPの推移(http://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html)によると、
1995年のGDPデフレーターは117.26、2015年のそれは102.78。
いずれも100を超えているとはいえ、下がっているので、
1995年の時よりも2015年の時の方が物価の影響が限定的である。
※GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP×100
ついでに上記サイトで円ベースの実質GDPを確認すると、
1995年は約437兆円、2015年は約518兆円。やはりちゃんと増えている。
(一方で上記サイトのUSドルベースの名目GDPの場合、1995年は約5.45兆ドル、2015年は約4.39兆ドル。
成長率を計算するとマイナス約20%なので、哲学ニュースnwkはこのデータを使ったのだろう。)
というわけで、「日本経済は衰退している」という意見はさすがに言い過ぎだと考えられる。
こういうデータは見方を変えるだけで評価が変わってくるため、注意が必要である。
とはいえ、それでも低成長なのは問題である。
計算してみたところ、先ほどの円ベースの実質GDPでも成長率は年1%未満。
これは他国と比べると低いため、手ばなしに褒められる状況とは言い難い。
絶対的には確実に成長しているが、
相対的には他国に追いつかれている。
それが今の日本経済だと評価できる。
※内閣府の国民経済計算(GDP統計)(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html)
の主な時系列データ(PDF形式:555KB)
(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2018/qe182_2/pdf/jikei_1.pdf)でも
日本のGDPの推移を確認できる。
ざっと見たところ、最近も実質1%、名目2%成長が現実的。
実質季節調整系列の2013年4~6月は約508兆円、2018年4~6月は約538兆円。5年で約6%なので年に約1%成長。
名目季節調整系列の2013年4~6月は約502兆円、2018年4~6月は約553兆円。5年で約10%なので年に約2%成長。