アニメ『sola』(そら)のまとめ・考察・感想
※以下の情報の多くはwikipediaの文を要約したものである。
基本情報
放送:2007年4月~6月
話数:全15話(放映13話+未放映2話)
制作:NOMAD
原作:久弥直樹…Keyの『Kanon』の脚本家。
原画:七尾奈留…CIRCUSの『水夏』や『D.C.~ダ・カーポ~』の原画家。
舞台:長崎県長崎市…路面電車などが実在する。聖地巡礼している人もいる(グーグルで「sola 聖地」と検索)。
ストーリー
「空」の写真を撮ることが趣味の高校生、森宮依人(*1)は、夜明け前、水辺の森公園の自販機の前で、不思議な少女に出会う。
その少女、四方茉莉は「青空」に憧れつつも夜にしか生きられない「夜禍」という存在だった。
同じ想いを持つ2人は何も疑わずに惹かれ合っていく。それが新たなる運命の始まりであるとも知らずに…
*1…加名見町という所に住んでいる
登場人物(注:ネタバレばかり)
森宮 依人(もりみや よりと)
主人公。御池(みいけ)学園に通う高校1年生。
その正体は蒼乃が作り出した幻で、依人の記憶を植え付けられた幻影。その為、肉体は紙で構成されている。
四方 茉莉(しほう まつり)
生来の夜禍人。350年以上前(江戸時代)から生きている。「トマトしるこ」愛飲。
森宮 蒼乃(もりみや あおの)
依人の姉。3ヶ月ほど前から入院中。正体は茉莉によって甦った不老不死の力を持つ夜禍人。
依人を失った悲しみから命を絶つが、茉莉により甦る。紙を自在に操る。
石月 真名(いしづき まな)
依人の同級生。依人とは高校の入学式の日に蒼乃の病室で出会う。
ファミレスのアジュールでアルバイトをしている。
神河 繭子(かみかわ まゆこ)
辻堂と共に行動している少女。
17年前の誕生日に強盗によって殺害された後、茉莉以外の何者かの手で夜禍人として甦る。
その日、幼馴染の辻堂がプレゼントに買ってきたうさぎのぬいぐるみ(ボロウサ)を持っている。
辻堂 剛史(つじどう たけし)
17年前、夜禍人になった繭子をいつか人間に戻すと誓い、それを果たすために茉莉を追っている。
石月 こより(いしづき こより)
真名の妹。小学2年生。体調を崩して入院した際、蒼乃と知り合う。同じ孤独を知る者として、蒼乃を慕っている。
夜禍人(やかびと)とは
夜の禍(わざわい)として人々に忌み嫌われる孤独な存在。
人が寝ている間に捨て去った憎しみや悲しみが集まってできたと言われている。
人並み外れた能力を持っており、不老不死。しかし、日光などの強い光に弱い。
茉莉のような生来の夜禍人と、蒼乃や繭子のように人間から夜禍人にされた存在とに分けられる。
人間を夜禍人にする事は、生まれつきの夜禍人にしか出来ない。
また、辻堂の剣に夜禍人の命を宿し、それを他の夜禍人に移すことで人間に戻すこともできる。
なお『依人』も手がかりを見つけたが本人が死んでしまったため、どのような方法かは不明。
主題歌
OP「colorless wind」
ED「mellow melody」
共に作詞は畑亜貴。私的には、OPは蒼乃の気持ちを歌っているように聞こえる。
例えばサビの「忘れない 誰かの声が切なく響く」は依人の記憶をなくしていく、真名やこよりの気持ちで、
「忘れたい 願う自分がわからない」は依人の死を受け入れきれない蒼乃の気持ちか?
一方、EDは茉莉か蒼乃の気持ちか?
「嘆く間もなく 時は流れる」「人々が眠りにつけば」などの表現は夜禍人であることの示唆で、「あなたから」のあなたは依人?
そして「戻りましょう そっとあの頃の想いに」という回帰する発想は茉莉か蒼乃の願望か?
まぁ絶対的な正解があるわけではないので、好きに想像すればいいのだが。
誰を主語にしても当てはまるところがある歌詞になっているので(もともと主語がない歌詞なので)、他の解釈も容易にできるだろう。
何にせよ、畑亜貴本人がどの程度考えているのか気になるところである。
私の解釈と全く違う可能性もあるし、商業的に作っただけでそこまで深く考えていない可能性も十分ある。
追記(2013/03/22)
本作はスパイダーネットワークスの「2007年のNo.1アニメは何?」というアンケートでダントツの1位だったそうな。
ソースはhttp://gigazine.net/news/20071227_2007_anime_no1/。
2ちゃんねるではエロゲっぽいと揶揄されているが、意外と隠れファンが多い良作なのかもしれない。ジブリ的な正統性もある。
それに上記の「基本情報」で述べた通り、Keyやダ・カーポの人が関わっているのだから、エロゲっぽいのはある意味で当然。
◎ここから先は各話のあらすじを列挙して軽く考察していく。
第1話「ソライロノカサ」
・OP「敏感な風景」
・依人、午前4時(*1)、夜明けの空を撮影する準備をしていた際、自販機から缶が出なくて困っていた茉莉に出会う。
助けて「トマトしるこ」を入手するも、茉莉は消えてしまう。結局、撮影できず。
*1…時刻は屋上で真名が言及している
・伏線:木の周りで遊ぶ子供たち、子供の歌声(*2)、洞穴の中で佇む女、木を杖にしてさすらう人
*2…「夜禍人」という歌詞あり。伏線になっている。
・依人と真名の絡み。依人は無類の空バカという設定。人形を選ぶセンスは皆無。
・病気の姉・蒼乃(*3)の所へ見舞いに行き、誕生日を祝う。
こより、蒼乃のだましぶねに感動(「真名さん」ではなく「お姉ちゃん」というお約束)。
蒼乃、依人の人形をポイ捨て(しかし集めているので内心は喜んでいる模様)。
*3…蒼乃はカーテンを開けることを拒んでいる。日の光を嫌っているようだ。
・依人、教会(*4)と夕陽の美しさに目を奪われ撮影。夢中になり過ぎて面会時間を過ぎる。
*4…教会内には茉莉
・真名、依人のために料理を作る。しかし、しょうがを切らしていたため、依人に買いに行かせる。
・剛史登場。雨が降る。
・依人、雨宿りしている際、自販機前で茉莉に再会。茉莉にゲテモノの「トマトしるこ」を勧められる。
茉莉、依人が空に興味を持っていることを知り、写真を渡す。そこには教会と夕陽。
2人は雲の話をする。
茉莉、青空の下にいる自分をイメージして泣く(夜禍人の彼女にはできないことだから泣いたのだろう)。
そして空のデザインが施された傘を依人に渡し、去る。
・剛史、ダンボール内で眠る繭子を発見。コンビニの300円のフォアグラおにぎりを渡し「最低」と言われる。
そして何か(夜禍人の茉莉)を見つけたという話をする。
・依人、茉莉がくれた教会と夕陽が映った写真を思い出し、教会へ
・教会で茉莉vs剛史が勃発。剛史は光で茉莉を翻弄する。
駆けつけた依人、それを見てしまう。
・ED「mellow melody」
第2話「ミアゲルアオ」
・教会。茉莉、人間離れした跳躍で逃亡。
・OP「colorless wind」
・茉莉(*1)vs剛史(*2)の続き
*1…茉莉は触れたものを劣化させる能力がある模様
*2…剛史、茉莉は人間ではなく夜禍(夜のわざわい)だと説明。「関わるな」と依人に忠告。
・依人、茉莉を助け、家に運ぶ。茉莉の手が灰化。
・翌日。茉莉、空の写真に興味を示し、依人に感謝。そしてご飯を作ると言い出す。
・学校。依人は休み(ちょくちょく休む生徒らしい)。真名、違和感を覚える。
・茉莉、材料を丸ごとレンジに入れ、蹴ろうとする(料理下手&機械音痴設定)
・茉莉、日の光に弱いことを依人に明かし、人間ではない夜禍人であることを話す。
いわく「何百年も生きてきて、本物の青空の下に一度も立ったことがない」。
・依人、親がいないので、家に残ることを提案。
しかし茉莉は「私と一緒にいたら、君はいつか私を憎むようになるから」と言い、断る。
・依人、真名から蒼乃が見舞いに来ない依人を案じていると電話で聞き、病院へ。
茉莉、待っていることを約束(後、バイバイと言うが)。
・剛史と繭子、真名(*3)がバイトしているファミレスのアジュール(*4)で食事
*3…真名が「おはよう」と言っている。朝?
*4…シーフードが美味しい店
・依人、帰宅。電気が消えているのを見て慌てる(*5)が、茉莉は2階の依人の部屋で空の写真が貼られた天井を見ていた。
2人はベッドに寝転がって空を見る。依人、茉莉にいつか本物の空を見せると約束。
*5…空の写真にバイバイという文字(さよならをするつもりだったのか?→しかし途中で気が変わった?)
・ED「mellow melody」
・予告はおそらく「ソラマメ」の話
第3話「オダヤカナヒ」
・依人、学校へ。真名が来る。
・依人、蒼乃の見舞いに行き、(茉莉のために)すぐ帰宅。
真名、それをいぶかしむ。
・剛史と繭子、ファミレスのアジュールで食事(*1)
*1…メガネの佐倉紗絵(さくらさえ)はヒゲの剛史に憧れている
・茉莉、スーパーでアボカドラーメン(←まずい)を買い、新聞屋から洗剤をもらったことを依人に話す
・真名、肉じゃがを作りに森宮家へ。調味料を買いに行かせる。そして茉莉(*2)に出会う。
*2…1週間も前から依人の家にいる
・修羅場!?
茉莉は真名の肉じゃがの味を知り、これなら依人を真名に任せられると判断し、「合格」と言う(*3)。
その旨を聞き、真名は茉莉を悪い人ではないと判断。
その後、茉莉は一瞬いなくなるが、すぐに教会の荷物を持って帰ってくる。
そして依人と真名が恋人同士であることを指摘(→結果として茉莉のおかげで、依人と真名の関係が進展することに)。
*3…真名は当初、これを「(依人と真名の関係を邪魔しないようにするために)戻って来ない」という意味だと解釈し、焦る。
・学校。ご機嫌な真名。
第4話「ネガイフタリ」…蒼乃とこよりの関係
・こよりと同級生(?)の絡み
・茉莉(*1)、依人が選んだセンスのない人形を褒める。真名、茉莉に服を貸す。
*1…茉莉「おやすみ」→夜行性?
・人形屋へ行き、人形を選ぶ
・こより、退院のことを話せず、悩む
・剛史と繭子、ファミレスのアジュール(詮索する佐倉紗絵)。
・回想:寂しさが分かるこよりと蒼乃の出会い
・依人、人形を忘れる。蒼乃は5個で許す。
蒼乃いわく人形は36個で最初の人形がお気に入り。
・こより、退院することを言おうとするが、床に落ちた折り紙を見て言えず
・蒼乃、こよりにだましぶねを披露。こよりを友達とみなし、折り紙の折り方を教える。
こより、嬉し泣きしそうになる。その後、退院することを話し、無事に退院。
・剛史、ファミレスのアジュールで依人とこよりを見かける。
第5話「フリソソグヒカリ」
・回想:繭子、17年前の誕生日に殺害される
・依人と茉莉、コンビニでトマトしるこを買い、空の話をする
・剛史と繭子、教会で食事。300円のフカヒレおにぎり。
・依人と茉莉、雨の中、デート。自販機前に行きボートに乗る。空を見せることを約束。
・蒼乃、こよりに折り紙の折り方を教える
・こより、蒼乃に頼まれて、依人に内緒で森宮家のモノを取りに行くことに。
途中、茉莉に出会ってしまう。
・茉莉vs剛史
茉莉、光に負けそうになるが、剛史の右腕を壊死させることで対抗し、逃げる。
剛史、追いかけ、剣で茉莉を斬ろうとする。
依人、それを止め、空を見せると約束したことを告げる。
剛史、それを聞いて躊躇。その間に真名が来て助かる。
・蒼乃、こよりからモノ(裁縫道具?)を受け取り、「茉莉」に出会ったことを聞く
第6話「イケニエノチ」
・回想:依人、杖をつきながら洞穴へ行き、「茉莉を空の下に連れ出せるかもしれない(*1)」と言う(1話で出てきたシーン)
*1…結論から言うと、この後、本人が死んでしまうため、この方法が何かは不明。各自で想像するしかない。
・真名、茉莉が剛史に追われていたこと、茉莉が夜禍人であることを知る
・剛史、右腕を医者に診てもらう(繭子とこより、接触)。
・蒼乃に自然に茉莉を紹介するために、依人と茉莉は恋人同士のフリをすることに(真名のアドバイス)
依人、茉莉に太陽の写真を見せ、干した布団のお日様の匂いを教える。
茉莉、キスをせがみ、依人をからかう。その後、依人の姉が「蒼乃」だと知る。
・蒼乃、折り紙に血を染み込ませる(伏線)
・病院。寝たフリをする蒼乃(*2)。
*2…3ヶ月ぐらい前から入院中
・教会の剛史と繭子、雨漏りに苦戦。
・蒼乃、先の折り紙で茉莉を誘導。
「最近、やっと力が戻ってきた(*3)」と言い、依人は自分の弟だと主張(*4)。
*3…何かに力を使っていたようだ。幻の依人の作製に力を使ったということだろうか?
*4…茉莉は「ウソ!? そんなわけない」と言っている。
弟であることは蒼乃の願望にすぎないのだろうか?もしかして元は恋人?
・回想:自害する蒼乃
・すき焼きに白菜を入れるかどうかでもめ(入れる派は依人と蒼乃(*5)、入れない派は真名と茉莉)、
布団の上でエロいこをした、しないでもめる
*5…外出許可をとってきたらしい。依人と茉莉を監視したい模様。
・茉莉、蒼乃に「一つだけお願いがある」と言い、夜の学校に行く
・回想:茉莉、蒼乃を生き返らせ、嫌がられる
「人はね、眠っている間に苦しさや不安や憎しみを全部捨てていくの。
そして軽くなった心で朝を迎える。闇の中に苦しみは消え、澄み切った空と新たな時間が人々を歓迎する。
夜禍はそんな夜に捨て去った人々の苦しみや不安が集まってできたもの。人が最も忌み嫌うもう1人の自分。」
・茉莉、依人にキスし、消える(自分がいると依人によくないと判断したか?)
第7話「ハイイロノヨル」
・朝日を見る依人。依人を待つ蒼乃。
・茉莉がいなくなって1週間。繭子も家出中(剛史が夜禍人とのことを話さなかったため)。
・蒼乃、部屋の模様替えをして空の写真を片付ける(茉莉と依人を引き離したいらしい。重度のブラコンですな。)
・いつの間にか解体された教会
・佐倉紗絵、剛史と繭子の関係を詮索し、夜禍を母親と解釈。
真名「もう1ヶ月か」と呟く。
・依人と蒼乃、雨の中、デート
・依人、デート中にトマトしること茉莉を発見。蒼乃の制止を振り切り、後を追う。
そして、茉莉と繭子がいる所へ行き、茉莉を刺してしまう。
(蒼乃が依人を操ったという意味か? 結論から言うと依人は蒼乃が作った「紙」なのだから。)
第8話「キエナイオモイ」
・依人、気がつくと学校(夢オチか?)→記憶が曖昧になり混乱(*1)→真名に介抱され、蒼乃のもとへ
*1…蒼乃に記憶を操作されている模様
・佐倉紗絵、支え合う茉莉(*2)と繭子を見かける
*2…茉莉は「約束を破っちゃったから刺されて当然」と判断
・真名、詮索好きな紗絵が撮った茉莉と繭子の写真を見て、森宮家へ。
しかし蒼乃は真名を家に入れず「帰って」と言う。その際、日の光に弱い(=夜禍人である)ことを知られてしまう。
・剛史、繭子を探し続ける
・依人、どうしても茉莉を刺したことを忘れられず混乱。
蒼乃は「茉莉はいない」と諭し、謝る。そして「ただ依人と暮らしたかっただけ」と言う。
・真名、森宮家に侵入し、依人に茉莉がまだ生きていることを伝える。
依人は真名を自転車に乗せ、何処かへ。
・路面電車の車庫で茉莉vs蒼乃の形に 「あなたはもういないの。いてはいけないの。」
第9話「ヤクソクノハテ」
・蒼乃、紙を自在に操り、茉莉を追い詰める。しかし、かつての茉莉との縁を思い出し、止めを刺せず。
・剛史、紗絵から繭子のことを聞く
・依人と真名、茉莉を探す。依人は混乱して頭を抱える。真名は紙を見て蒼乃が関係していると悟る。
茉莉と繭子、電車の中からそれを見かける。
・真名、蒼乃に嘘をつき、依人を介抱(*1)
*1…石月家はいつも両親不在で孤独。こよりも蒼乃がいないため寂しそう。
・ご飯(*2)を選びながら、路面電車を待つ、茉莉と繭子。そこへ剛史が来て修羅場に。
*2…フォアグラおにぎりなど/ボロウサというぬいぐるみ
・蒼乃、石月家へ行き、依人に会おうとするも、真名に拒まれる
(真名は蒼乃が依人に何かを隠していることに気づいている。茉莉との関係にも薄々勘付いている。)
・茉莉vs剛史
・回想:剛史と繭子
剛史、17年前、繭子の誕生日プレゼントとしてうさぎのぬいぐるみ(ボロウサ)を購入
→しかし繭子は強盗に殺される→後、何者かの手で夜禍人として甦る
・繭子、「誰かを犠牲にしてまで私は(人間に)戻りたくない」と言い、剛史を止める。
いわく「私の願いはただそばにいて欲しいだけ」「昔と変わらない優しい剛史のままで」。
第10話「ユレルマボロシ」
・依人、記憶を取り戻し、真名と茉莉を刺した現場(第7話のラスト)へ行く。
そして真名から大事な話(蒼乃は夜禍人だという話)を聞く。
・剛史、トマトしるこをコンビニで探す。その際、バイト中の紗絵に会う。
・茉莉、繭子に蒼乃と依人のことを少し話す。しかし多くは語らず。いわく「そうしないと辛すぎるから」。
・蒼乃とこよりの絡み。そこへ依人。3人でフレンチトーストを食す。
・真名、紗絵からトマトしるこの話を聞き、茉莉がまだ近くにいることを知る
・依人、蒼乃を問い詰める(蒼乃は茉莉なしで依人とずっと一緒にいたい模様)
・真名、剛史を捕まえ、茉莉のことを問い詰めるも、はぐらかされる
・真名の回想:蒼乃や依人との出会い~真名とこよりの絡み
・依人、茉莉と再会し、自分が何者なのか茉莉に尋ねる。
茉莉、依人を剣で刺す。そして、本物の依人は既に死んでおり、今の依人は蒼乃が紙で作った幻影だと明かす。
・回想:依人の死。蒼乃いわく「生贄なのにあたしが生き続けたから」。
・剛史は繭子に「本人(依人)が本当のことを知りたいと願ったんだ。不安と苦しみの中、真実の中にいることを選んだ。
止めることは誰にもできない。」と言う。寄り添う2人。
・茉莉、依人にキスし、今の依人の存在を確かめ、告白。そして「消えて、私と一緒に」と言う。
・依人、今の自分を受け入れ(?)、真名に会う。
一方、茉莉は剛史に刀の使い方を尋ねる。
第11話「ムソウレンガ」
・部屋の天井に貼られた空の写真をはがす依人。依人は蒼乃を、そしてすべてをありのままに戻すことを決意。
・依人と蒼乃は街を出て、すべて最初からやり直すことを決意
・一方、繭子も剛史と街を出ることを茉莉に話す。繭子いわく「このまま残っていたら私はあなた(茉莉)を止めるかもしれない」
「誰かが犠牲になることに無頓着になれないだけよ」「(日常の中に帰って行った依人に対し)辛い選択をしたのね」。
・真名は「何も聞かないで欲しいんだ」と言う依人に対し「もう少し人の気持ち考えた方がいいよ」と言い、走り去る
・アジュールで会話する真名らと紗絵(*1)。真名以外の子は依人のことを忘れている模様。
*1…紗絵はここで剛史が料理のテイクアウトを頼んだことを話している
・蒼乃、こよりに街を出ることを話し、帰らせる。寂しいこよりは池田書店の前で立ち止まる。
・茉莉・剛史・繭子はシーフードが美味しいアジュールのテイクアウトを食す。剛史いわく街を出るのは今夜。
・真名、周りの子が依人のことを忘れていると知る(*2)。写真から依人が消えていることも知る。
*2…記憶がなくなるのはKey作品の常套手段。近年ではclannadの伊吹風子編が有名。
・こよりは書店で買った折り紙の本を蒼乃に見せ、「もっと折り紙を教えてください」と願う。そして別れを惜しむ。
・真名、急いでいつも依人がいる学校の屋上へ。「忘れない」と依人に泣きつきながら依人のことを忘れていく。
茉莉いわく「幻は夢のようなもの」「確かにそこに存在したのに、夢から覚めれば、やがて記憶からも消えてしまうもの」。
・仲良く街を出る剛史と繭子。繭子いわく「一人じゃない私はまだ幸せなのかもしれない」。
・そして依人・茉莉・蒼乃のクライマックスへ・・・!
第12話「ユウメイノサカイ」
・回想:洞穴にて。依人は3人でここを出ることを提案。
蒼乃は村の人に怪しまれている状況。彼女は夜禍のたたりを鎮めるために生贄としてここに来た。
・茉莉vs蒼乃に。どちらが依人の傍にいるか決めることに。
・廃墟でエア映画を楽しむ依人と茉莉。2人は「死」の意味をまだ知らない。
・森宮家(?)が空き地に
・茉莉vs蒼乃:茉莉(*1)「あなた(蒼乃)を倒してかわいそうな依人を消してあげるの。それが私の目的だから。」、蒼乃「依人を返して」
・回想:蒼乃を庇う依人~茉莉との出会い~依人の死:蒼乃「生贄なのに私が生き続けたから」(ここは第10話などの復習)
*1…茉莉は一人ではない喜びを知ってしまったため寂しかった。そのため蒼乃を生き返らせてしまった。
しかし蒼乃はそのことを恨んでいる。依人がいない世界で生きなければならないからである。
・剛史と繭子の絡み
・蒼乃は依人の話を聞かず、依人を磔にする。依人に依存(*2)してしまっている。
*2…「依」存する「人」という意味で「依人」なのかも
・依人、蒼乃の磔を自力ではがし「もう終わりにしよう」と言い、蒼乃を拘束。そこへ剛史の剣を持った茉莉が近付く。
そして映画館のスクリーンに映る空(*3)。
茉莉は剛史の剣を自分自身に刺し、それを蒼乃に・・・!(*4)
*3…sola屈指の演出。これがあるから「依人は空が好き。でも夜禍人の茉莉と蒼乃はそこへ行けない。」という設定が活きる。
*4…剛史いわく「その刀にお前の命を宿し、夜禍人に移せば、人間に戻ることができる」
第13話「ソラ」
・蒼乃、逃亡(夜禍の力が弱くなっている)
・茉莉を背負う依人。2人は第1話のように雲の話をする。
・回想:茉莉と蒼乃の絡み(当時は仲が良かった)
・茉莉vs蒼乃:途中、蒼乃が依人を刺して、ただの紙にしてしまう。茉莉はその蒼乃を刺し、人間に戻す。
・回想:洞穴の中で空の絵を楽しむ3人。いつか3人で本物の空を見ようと誓い合う。
・剛史と繭子。剛史「年々、服のセンスが悪くなってるよな」、繭子「最低っ!」、
繭子「剛史はどうして逃げなかったの」、剛史「逃げるわけないだろ」。
●そして1年経ち、桜が舞う春になる。
・蒼乃は茉莉のおかげで太陽の下で生きられるようになる。
・アジュールで働く紗絵は、1年経っても、ヒゲダンディ剛史のことを忘れられないまま。
そんな紗絵をよそに、真名は空を見上げる(空が好きな依人の思いを受け継いだ模様)。
・こよりは例の書店(第11話参照)で蒼乃に折り紙の本を取ってもらい、だましぶねを披露(第1話や第4話参照)。
そして蒼乃に名前を聞く。どうやら蒼乃のことを覚えていない模様。
しかし「蒼乃」という言葉とだましぶねに少し反応しているようにも見える。何処かに記憶が残っているのかもしれない。
・真名は依人の席を眺め、空を見る。そして屋上へ。
そこには太陽の下で生きられるようになった蒼乃。転校生になったため、学生服を着ている。
真名「なんでだろう? たぶん、前に…分からないけど、好きなんだと思う。空を大好きなんだと思う。」
蒼乃「私も大好き。この大きな空はどこまでも繋がってるから。人と海と街と、そして夜と。そう、空の向こうは夜空。
一つの同じ繋がった空。だから私は空の下を歩く。2人がくれた空の下を。」
真名「おーいっ、空っ。好きだ、大好きだぞーっ!」
・ED「見上げるあの空で」
・依人の思いを受け継ぎ、夜明けの空を撮る真名(蒼乃とこよりも一緒)。
蒼乃は、こよりのために、茉莉のように、例の自販機を足で蹴って作動させる。
・茉莉と依人のように仲良く並ぶトマトしるこ
SP1「ベツルート」…水着回。本筋ではないので省略。
SP2「アケルソラヘ」…第1話の前日の話
・依人の部屋へ行く真名。そこで空の写真が貼られた天井を見る。
・屋上の依人と真名。依人は空バカ。詮索する紗絵ら。
・病院の蒼乃とこより
・自販機を蹴る茉莉
・剛史と繭子 ※キャビアがないのでイクラを食す
・蒼乃の誕生日ケーキを選ぶ依人と真名
・依人、人形を蒼乃に渡す。蒼乃の希望で夜明けの空を撮ることに。
・池上書房で教会の本を売る茉莉
・そして第1話へ
~感想~
もう一度見たくなる点で秀逸な作品だった。
最初は主人公の依人がただの紙であることを知らないため、深く考えずに何となく見てしまうが、
二回目以降は、依人が本当はもう生きていないことを知ったうえで見ることになるので、一つ一つの描写がより切なくなる。
また、何となくスルーしていた前半の一つ一つの話も伏線であり、全てに意味があると分かるようになる。
スルメのように噛めば噛むほど味が出てくるような演出が随所に施されている。
全体的に、繰り返しによって印象づけようとする演出(リフレイン効果)が巧みだった。
残念ながらあまり知られていないアニメのようだが、個人的には高く評価したい。よい雰囲気のアニメだった。
残された蒼乃や真名が救われないという意見もあるようだが(←ブログや2ちゃんを巡回するとそういう意見あり)、
私はそこまで酷いラストだとは思っていない。
むしろ人の死や(記憶の)消失、「空の下に行けない」といったネガティブな設定があることで、
普通に生きることの素晴らしさが巧みに表現されていたように見える。
蒼乃は依人や茉莉を失ってしまったが、その分、太陽の下で人間らしく生きる力を再び得ているし、
真名は空を撮影するという趣味、生きがいを受け継いでいる。
また、こよりも普通の人間同士として蒼乃とまた一から関係を築いている。いずれもよい進展であろう。
ただ、世間は勧善懲悪がはっきりした分かり易い話を選ぶため、マイナーな作品になってしまっているようである。
強いていえば、しんみりとし過ぎていて、インパクトがなかった。
しかし、2012年の9月にBlu-ray化されたそうだ。それに伴い、ニコニコでも放送された。
本当に不人気ならBlu-ray化さえできないはずなので、ある程度の知名度はあるのだろう。
コアなファンがいることを信じたい。