わたモテ~ゆりと南とサチの関係と、愚考
わたモテ
ゆりと南とサチの関係をまとめ、愚考する
・8巻喪69(修学旅行の班決め)
南の件で揉めるゆりと真子(南は言及のみ)
※この頃からゆりと南は犬猿の仲
・8巻喪73
険悪なゆりと真子(ゆりの名前が判明)
・8巻喪77
ゆりと真子の仲直り、お守り
・9巻特別編5
ゆりの高校1年のクリスマス、ゆり「真子とクラスの何人かで遊んだ」
・11巻喪99
ゆり「熱あるから休む」→真子と南(初登場)の昼食→智子は一人ぼっち
→トイレ、真子のレズ疑惑、南とサチ(初登場)の悪口
・12巻喪117
転んだ智子を見て「ウケる」と言う南とサチ、
「キバ子」と言う智子を見て珍しく「ふっ」と笑うゆり
・12巻喪120
打ち上げ、焼肉屋で席替え
※疎遠なゆりと南
・12巻喪122
ゆりと南は3年5組、サチ・ノリ・マキは3年4組へ
南「まこっちしかいないんだよ」「それにまこっちはあいつと仲いいし」
※南「あいつ」→ゆり
・13巻喪124
スタータリーズというカフェ→優とゆりの初対面
→トイレで真子がゆりに「南さんみたいだったよ」と言い、ゆりが真子の腕を殴る
(南は加藤・茜と買物)
※ゆりの自己嫌悪?
・13巻喪128
加藤と茜の傍でパンケーキを食べていた南が智子と陽菜の悪口を言い、孤立
・13巻喪129
孤立した南、サチ・ノリ・マキ、南を追う真子、「私は仲良くないから」と言うゆり
(小陽(こはる)という南の名前が判明)
・13巻喪132
昼休み、少女漫画のイジワルなライバルの女が嫌いだと話す智子、
ゆり「すごいわかる」、真子「滅多に同意しないゆりが同意した」、
孤立した南「今日からお昼どうしよう」「まこっちと食べたいけど」「邪魔なのが二人いるし」
「無理だ 嫌だけどサチのとこ行こ」
※南「邪魔なのが二人」→智子とゆり
・14巻喪134
学食、吉田vs小宮山、皆のケンカを望む南、サチ・ノリ・マキ
・14巻喪135
南が加藤による智子のメイクをあざ笑い、ますます孤立
・14巻喪136
漫画を読んでも泣けないゆりと南、ゆり「これと同類」
※ゆりは目が肥えているから泣けないだけ(後に智子がマニア向けと思しき本をすすめている)
一方で南は価値観が浅はかだから泣けない
(具体的には、分かり易いイケメンを好み、陰キャを嫌う)
・14巻喪137
ゆりは月ノ珈琲店へ、
真子は南・サチ・ノリの所へ(12巻喪120の打ち上げの埋め合わせ)
・15巻喪144
席替え、ゆりの前に南、寂しそうなゆり、真子に「つまんない」と言う南
・15巻喪145
一人ぼっちの南が三家と快の狭間で昼食→吐く
(ゆりは外で真子のサンドイッチを黙々と食べる)
・16巻喪156
ゆりのぬかよろこび、南がいないいい日、遅刻寸前で来る南
南が4組へ→サチ・ノリとの交流→内にメイク写真(14巻喪135)を見せ、出禁に
・17巻喪163
ぼっちの南をからかうサチ、性悪だが無邪気な南
1年の真子→少しだけ男と付き合う→無断でメール提供→ゆりも男に誘われる
※ゆりも内向的なだけで、ある程度はモテる外見であると考えられる
・18巻喪172
凪・楓、ゆり・真子・南・サチは1年の時、同じクラス
・18巻特別編10
ファミレスでマキの彼氏の悪口を言う南、言わせるサチ、言わない真子「環境も悪い」
※サチは悪口を自ら言うのではなく、誰かに言わせるタイプ
一方、南は悪口をつい言ってしまうタイプ
・18巻特装版小冊子(もしキバ子グループ、智子・ゆり・真子・南・サチ)
悪口ばかりのサチに「特徴ない顔 整形して覚えられる顔にしろよ」と言ってしまう智子
→グループ崩壊→ゆり・真子とは仲良くなる(「ふっ」と笑うゆり)
・20巻喪185
席替え、南「まこっち私の隣でいいよね」「裏切らないよね」
・20巻喪187(19巻喪184)
1週間前、3年2学期、バス通学の南「今日から学校か」→三家と快、豚の餌→サチ・ノリ・マキ
→席替え、南「うざ」→二木と南の昼食
回想、中学、理科の相原をキモいと思う南と同意しないゆり(同じ中学)、
高校1年のクリスマス(9巻特別編5)、南・途中で帰ったゆり・サチ・真子
南「自分勝手(マイペース)な奴っていたな」「昔嫌いだったな」
※「昔嫌いだったな」→今は違うという心境の変化
サチ・ノリを無視して、ゲーセンの二木に会う南
・20巻喪188
席替え、南の前に二木
→キョドっている南を見たいサチ(彼女は喪187で南にハブられた件を根に持っている)
→南に執着するサチ、そんなサチを見て「ださ」と思うノリ
南が映画の話をする智子を見て「うざ」と思う→二木とゲーセンへ
→開眼したサチ「そのキモい奴らといたかったら別にいいけど」
・20巻喪189
南に執着するサチ→二木とオタク達の話→南のアゴ発言とサチの挑発→グループ崩壊
・20巻喪190
ぼっちになってしまったので、学校に行きたくない南→二木がそんな南に話しかける
→南が自分達とは違い、一人でいられる二木にイラつき、サチのようにあたってしまう
→校舎の間で二木がサチを見かける→帰りのバス、南と二木の仲直り
・20巻喪191
(美馬(みま)というサチの名字が判明)→校舎の間→南とサチの仲直り
→サチ「同情されたくない」「小陽ちゃんが下じゃないと嫌」
→お互いの悪口を初めて表で言う(体重、デブ、歯並び、お面)→対等な関係に
二木やオタクを嫌うサチ「まこっちならOK」「田村さんは」「まあいいか」
南「嫌なんだけど」「中学一緒だったから間違って入れちゃっただけだし」
※スクールカーストを気にするサチが内向的なゆりをギリギリ認めている
南が智子に二木がいる場所を教え、ゆりと向き合う
・20巻喪192
校舎の間、サチと智貴
・20巻おまけ
1年、人の事故死を笑う南、同調するサチ、笑わない真子、無言のゆり
・20巻特装版小冊子
キバ子グループ、智子とサチ(ゆり・真子・南は別のクラス)→上辺だけの会話はできるように
→智子は凪のグループへ、サチは委員長のグループへ
→切れていない南とサチ、それを見て「うぜ」と思う智子
・21巻喪194
中庭での昼食、南・サチ・真子、吉田と智貴、悪口
(サチいわく、南は背が高くて友達が多い陽キャを好む)
・21巻喪199
校舎の間、サチ、南の誕生日(単純で楽な南)
・22巻喪200「サチとこはる」
自信をつけ、一人ぼっちでも周りにどう思われるかを気にしなくなった南、
思ったことを何も考えずに話す南のことがムカつくし好きなサチ
※サチは悪口を表で言えないため、誰かに言わせるしかない
一方で南は悪口を思わず言ってしまう
・22巻喪203
コーヒーカップ、サチ・南・二木
サチ「空気読めなくて人に合わせられない女子なのに女子として生きてない奴って私嫌いなの」
南「それは少し私も思うけど」
サチ「建前で褒め合って言いたくなくても合わせて悪口言うのが女子」
※協調性を重視するサチと、人に合わせられないマイペースな二木→最悪の相性
・22巻喪204~喪205
カフェ、ゆり・真子・サチ
サチ「田村は謎だけど経験アリでも不思議じゃない容姿(かお)」
※ゆりの容姿は悪くないらしい
(ゆりに対して)サチ「モテないって言ってるのと一緒だしナメられるとか考えないの?」
「こういう何も気にしないところが小陽ちゃん嫌いで私も苦手だから話さなくなった」
※南とサチの性格の違いがよくわかるセリフ。
南はゆりの性格が嫌い(好きではない)。
好みの問題にすぎないので、やろうと思えばゆりのように振舞うこともできると考えられる。
実際、一人ぼっちと思われても気にしない性格になりつつある。
(そうするしかなかったという実情もあるが)
20巻ではマイペースで嫌いだった二木と話せるようになった。
喪200でも「人のクラスじゃ居心地悪いでしょ」と言うサチに対し、
「昔はそういうの気にしたけど今はどうでもいい」と言い返している。
一方でサチはゆりの性格が苦手(得意ではない)。
ゆりのような生き方はできない。耐えられないと言ってもよい。
これは悪口を表で言えない性格とも関連している。
サチはスクールカーストや協調性を重視するため、表では人に合わせる。
だが裏では悪口を言うし、南に悪口を言わせることもある。
本音と建前を巧みに使い分けて生きている。(22巻喪203より)
18巻特別編10だけで判断すると、サチは人に悪口を言わせる性悪女に見える。
だがこの話まで読んで総合的に判断すると、
サチはナメられて孤立することを恐れる、よく見かける女子高生に過ぎないとも言える。
愚考~智子・ゆり・南・サチの関係
以上に基づいて、智子・ゆり・南・サチを分類し、関係性を考えてみたい。
まず、スクールカースト、周りの人にどう思われるかという世間体、場の空気、協調性などを
重視するのは、明らかにサチである。
南の性格も20巻から二木の影響で変わってきているとはいえ、本来はサチのそれに近い。
20巻喪189のグループ崩壊で一時的に孤立してしまったとはいえ、
本来は二人とも少なくとも建前だけなら、陽キャとしてやっていけそうである。
一方で智子とゆりはそういったものをサチや南ほどは重視しないし、
重視したくても上手く立ち回れない。サチや南に比べ、内向的で、生き方が不器用である。
二人とも陰キャ扱いされやすい。
(因みにこの「陰キャ」という言葉は作中で何回か見られる。
興味深いことに、その多くは(というか全て?)智子か南の発言である。)
というわけで、便宜上、サチと南を陽キャ、智子とゆりを陰キャと見なしたい。
次に、悪口をはっきり言えるかどうかを考えてみると、
サチは裏で言うか南に言わせるだけで、表では言えない。
ゆりも悪口ばかりの南に同調しないし、悪口を言わない。そもそも基本的に無口である。
一方で南は思ったことをつい言ってしまう。
18巻特別編10や20巻喪189の「アゴ」発言(マキの彼氏の悪口)がその典型例である。
実は智子もつい余計なことを言ってしまう悪癖がある。
例えば、8巻の修学旅行で吉田に「ヤンキー」と言ってしまう。
12巻喪117で転んで南に笑われた際、「キバ子」と言う(ゆりが珍しく笑っているのも印象的)。
18巻特装版小冊子でも、「もし~」というIFストーリーとはいえ、サチに「特徴ない顔」と言ってしまう。
つまり南・智子はつい悪口を言ってしまう。だがサチ・ゆりは悪口を言わない(言えない)。
智子・南が何かやらかし、ゆり・サチがそれを咎める。
お笑いのボケとツッコミのような関係が成立している。
雑な分類ではあるが、まとめると、智子は陰キャのボケ、ゆりは陰キャのツッコミ、
南は陽キャのボケ、サチは陽キャのツッコミと言えそうである。
当然、ゆりと南は合わない。何もかもが正反対なのだから。
同様に、智子とサチも合わない。
18巻、20巻の特装版小冊子のIFストーリーで仲間割れするのも頷ける。
また、この問題意識で20巻を読み直すと、わたモテのもう一人のボケ担当は南であるとわかる。
もう一人の主人公と言ってもよい。実際、20巻の表紙も南である。
(小柄な子があがく点でも智子と南の言動はどことなく似ている)
この物語は智子と南が素っ頓狂な問題提起をする(時にはやらかす)ことで動き出すわけだ。
追記
上記の愚考は22巻特別編13を読んでいるときに思いついた。
駅のホームのベンチで話す智子とゆりの関係は南とサチの関係に近いと思ったのである。
サチが反対側のベンチで二人の話を聞いているのが象徴的で、
錯綜するわたモテの陽キャと陰キャの心をコインの表と裏のように表現できている話だ。
ミステリー小説アンソロジーの円居氏の話もヒントになった。
この話を読めば、対照的な智子とサチがたまたま同じものを求めてしまったらどうなるか妄想できる。
実は原作でも将来的に智子とサチが間接的に接触する可能性がある。
20巻喪192以降、サチは智子の弟である智貴のことが気になっているからである。
「黒木家で智子とサチが鉢合わせしてしまって…!?」という話も描けそうだし、面白そうだ。