アニメ化されていない涼宮ハルヒシリーズのまとめ・考察・感想
今回は、アニメ化されていない涼宮ハルヒシリーズを時系列順にまとめた。
※執筆の際、wikipediaの6 時系列、ニコニコ(時系列)を参照した。
※主人公のキョンの視点で要約した。主語がない文で始まっている箇条書きの場合、その主語はキョン。
※簡潔さを優先したため、かなり省略している。物足りない場合は本文をきちんと読んだ方がよい。
6巻『涼宮ハルヒの動揺』の「ヒトメボレLOVER」…時系列は高1の12月の冬休み。4巻『消失』の後。
・中学の同級生、中河(*1)が「(5月からずっと長門を)愛している」と電話で話す
・「10年待ってくれ」という中河のラブレターを代筆し、長門の前で読む。
対して長門が「待つことはできない(が)気になる」と言う。
・皆でアメフト部の試合における中河の活躍を見に行く
・長門が謎の呪文を呟いたせいで、中河が軽い脳震とうで倒れ、救急車で運ばれる
・長門と一緒に、『消失』で入院した病院へ
・中河が勘違いに気づき、結婚の約束の解消を電話で申し込む
・長門が、中河が情報統合思念体を見る超感覚能力を持っていたことを話し、
告白が間違いだったことを「少しだけ」残念に思う
*1…中河によると、キョンは中3の頃、ある変な女が好きだった→9巻『分裂』の佐々木のこと
5巻『涼宮ハルヒの暴走』の「雪山症候群」…時系列は高1の12月の冬休み
・12月24日。ハルヒが鍋を食べながら、鶴屋家が所有している雪の山荘に行くことを決定。
※この間、6巻『動揺』の「ヒトメボレLOVER」
・12月30日。鶴屋家の別荘へ。キョンの妹、シャミセン、荒川(*1)、森も参加。
スキー中、吹雪き、遭難(長門の能力を超える異常事態)。洋館へ。
・ハルヒと探索して誰もいないことを確認。その際、ハルヒに「有希と何かあったの?」と聞かれ、誤魔化す。
・古泉が場所によって時間の速度が異なる館であることを報告。
長門が「この空間はわたしに負荷をかける」と言う。
・サンドイッチを食しながら、過去の世界(4巻『消失』)を救っていないことを思い出す
・ハルヒらが入浴している間に、4巻『消失』の出来事を古泉に話す。
古泉がハルヒと長門の力が弱まっていることを話し、自分達がオリジナルではなくコピーである可能性を懸念。
・キョンの部屋に朝比奈の偽者が、ハルヒ・古泉・長門の部屋にキョンの偽者が、朝比奈の部屋にハルヒの偽者が現れる。
長門が倒れる。
・古泉が館の玄関扉の「x-y=(D-1)-z」とオイラーの多面体定理「頂点-辺=(次元数-1)-面」と
長門の「4」から「D=2, x=5, y=5, z=1」を導く。
そして今後、長門が窮地に追い込まれた時に、一度だけ『機関』を裏切って味方することを約束。
・生還。古泉が集団催眠ということにする(鶴屋がハルヒ・長門・朝比奈が普通ではないことを見抜く)。
*1…「荒川」は誤字。正しくは「新川」。(平成20年10月30日38版発行)
6巻『涼宮ハルヒの動揺』の「猫はどこに行った?」…時系列は高1の12月の冬休み
・12月31日。古泉による推理ゲーム。犯人は古泉。偽のシャミセンが活躍。
6巻『涼宮ハルヒの動揺』の「朝比奈みくるの憂鬱」…時系列は高1の1月
・日曜日。朝比奈とデパートでお茶の葉を買い、5月に彼女と歩いた川沿いの並木道へ。
・線路の踏切近くの十字路で、眼鏡をかけた小学生くらいの少年が、
信号無視した車に轢かれそうになり、キョンに助けられる。
朝比奈が少年の名前(キョンが知らない名前)を聞き、これから何があっても車に気をつけるよう約束させる。
・朝比奈(*1)が何もできない自分を情けなく思い、泣く。キョンがそんな彼女を慰める。
・月曜日。少年のせいでハルヒ(*2)にデートがばれる。
*1, 2…朝比奈によると、少年は自分達の未来にとって大切な存在。ハルヒによると、少年は賢い。
7巻『涼宮ハルヒの陰謀』…時系列は高1の2月(12月、1月)
プロローグ
・1月2日。朝比奈・長門と12月18日へ行き、『消失』の件を解決。
※この間、6巻『動揺』の「朝比奈みくるの憂鬱」
・2月3日。節分の日。
古泉が∞マークで『消失』の世界改変を説明し、「幻の女」を長門と見なす。
第一章
・2月7日。部室の掃除用具入れにいる8日後の朝比奈を発見。
朝比奈(大)の関与を手紙(♯0)で知り、自宅へ。
そこで未来の朝比奈に先のことを聞く(シャミセンの円形脱毛症でハルヒを騙す)。
・未来の朝比奈を長門の家に預け、そこで長門が作ったカレーを食す
(長門は『消失』以降、自身のエラーを防ぐために、未来の自分との情報交換を封印しているので、何も解らない)
第二章
・2月8日。朝比奈(大)が書いた手紙(♯1)の指示通りに、空き缶と釘を使ったイタズラを道に仕掛ける。
若い男がそれを蹴ったせいで足を痛め、タクシーで病院へ行く。
・長門に配慮して、未来の朝比奈を双子の妹のみちるとして鶴屋家に預ける
(鶴屋はSOS団の連中が普通ではないことを見抜いている)
・朝比奈が2人いることを知っている古泉と話す。彼によると鶴屋家は『機関』の間接的なスポンサー。
第三章
・2月9日。朝比奈(大)が書いた手紙(♯2)の指示通りに、鶴屋家の山の石を移動させる。(谷口が振られる)
・鶴屋から宝の地図を受け取る(*1)
・2月10日。朝比奈(大)が書いた手紙(♯3、4、6)を読む。
・ハルヒが鶴屋家の山における宝探しを企画(傍に鶴屋。「元禄十五年、鶴屋房右衛門」。)(*2)
・未来の朝比奈に手紙(♯3、4)の内容を話す
第四章
・2月11日(祝日)。宝探し。何も見つからず。
古泉が、ハルヒが宝を望んでいないことと、一時期、憂鬱だった彼女の精神が安定してきていること(*3)を指摘。
・ハルヒと電話中だった(*4)長門にクジの細工を電話で依頼
第五章
・2月12日(土)。市内パトロール1日目。長門とペアに。
手紙(♯3)の指示通りに、未来の朝比奈と一緒に、
パンジーの植え込みに落ちている記憶媒体(長門によると時間移動理論の原理的基礎データ)を探す。
その際、新しい未来人が登場し、未来の朝比奈を敵視。
・亀を買い、未来の朝比奈に渡す
第六章
・2月13日(日)。市内パトロール2日目。長門とペアに。
手紙(♯4)の指示通りに、未来の朝比奈に会い、川に亀を投げ込む。
その際、6巻『動揺』の「朝比奈みくるの憂鬱」の少年が登場し、その亀を引き取る。
・未来の朝比奈が、現在の朝比奈の代わりに、『機関』に敵対する人達に
6巻『動揺』の「朝比奈みくるの憂鬱」の車(モスグリーンのワンボックスカー)で誘拐される。
キョンがそれをハルヒに電話で伝えるも、現在の朝比奈がいるため、イタズラ電話と見なされる。
古泉の仲間である森と新川が例の黒いタクシーで敵の車を追いかける(キョンも同乗)。
そして多丸兄弟と連携して、誘拐犯ら(*5)を車から追放し、未来の朝比奈を助ける。
・長門が朝比奈(大)が書いた手紙(♯5)を見せる。
未来の朝比奈がその手紙の指示通りに、元の時間に戻る。
第七章
・2月14日(休み)。特別クラスの推薦入試が実施される日(p.89)。宝探し第二弾。バレンタインデーの判明。
・手紙(♯6)の指示通りに、例の公園のベンチで朝比奈(大)と話し、バレンタインのチョコを貰う。
話によると、朝比奈(大)の役割は未来を固定する(別の未来になるのを防ぐ)こと。
因みにキョンの推測によると、亀を引き取った少年は、タイムマシンの発明者になる。
・鶴屋に石が最初にあった場所を掘ることを勧める
エピローグ
・2月15日。鶴屋が300年以上前の壺が出土したことを報告。
中は当時の技術では加工できない特殊な金属棒(チタニウムとセシウムの合金)。
・ハルヒが一日遅れのバレンタイン特別アミダクジ大会を開催(1人500円。賞品は巫女服の朝比奈の義理チョコ。)。
長門がそれを一発で終わらせ、時間稼ぎする。
その間にキョンが現在の朝比奈を8日前に時間遡行させ、2日前から帰って来た朝比奈を迎える。
・ハルヒが3月のホワイトデーについて話し、お返しを要求
*1, 2, 3, 4…いずれもハルヒの陰謀。すべてはバレンタインのため。
*5…犯人らは普通の若い男女(女は1人→9巻『分裂』の橘京子)。
そのうちの一人は第五章の新しい未来人(9巻『分裂』の藤原)。
8巻『涼宮ハルヒの憤慨』の「編集長★一直線!」…時系列は高1の3月
・新しい2年の生徒会長(古泉の協力者)が文芸部の存続の条件として会誌の発行を提示。
その際、長門の仲間である喜緑も2年の書記として登場(3巻『退屈』の「ミステリックサイン」を参照)。
・ハルヒ:編集長、キョン:恋愛小説、長門:幻想ホラー、朝比奈:童話、古泉:ミステリー、
谷口、国木田、鶴屋、コンピュータ研部長
・キョンの恋愛小説:中3の春休み、ミヨキチ(吉村美代子)とデート。ホラー映画を見る。
・ハルヒがミヨキチとの関係を詮索→妹の同級生で恋愛感情なしと判明
(ミヨキチの目的はPG-12指定のホラー映画を見ること。両親が固いのでスプラッター描写に理解がない。)
・ハルヒが『世界を大いに盛り上げるためのその一・明日に向かう方程式覚え書き』を書く。
朝比奈によると、時間平面理論の基礎中の基礎。
キョンの推測によると、この文を6巻『動揺』の「朝比奈みくるの憂鬱」の少年が読むことになる。
8巻『涼宮ハルヒの憤慨』の「ワンダリング・シャドウ」…時系列は高1の3月
・球技大会(女子バレー、男子サッカー)
・阪中(1年5組)が幽霊が出るという噂がある場所の調査を依頼。
具体的には、近所の犬達がある場所に近寄らなくなった。樋口の犬の具合が悪くなった。
・阪中の家(高級住宅街)へ行き、ルソーという犬を散歩させるも、何も分からず(朝比奈は巫女服)
・ルソーが原因不明の病気になる
・長門(*1)がルソーが情報生命素子というウイルスのような地球外生命体に憑依されていることを見抜く。
そこでそれを常時監視できるシャミセンに移す。
これにより、阪中のルソーと樋口のマイクが元気になる。
・古泉が敵の存在を示唆
・ハルヒが幽霊に興味を持つ
*1…「肉体が滅んでも精神は残るのか?」に対し「禁則事項」と答えている。死後の世界があるという意味か?
9巻『涼宮ハルヒの分裂』…時系列は高2の4月
プロローグ
・2年5組へ(ハルヒ、谷口、国木田も一緒)
・中庭での文芸部(SOS団)による新入部員(団員)の勧誘
生徒会長・喜緑書記、ハルヒのチャイナドレス、
春休みに作った『長門ユキの逆襲 Episode 00 予告編』の上映など
・古泉がハルヒによる閉鎖空間と『神人』の出現頻度が春休みの最終日から高まっていることを話す
・回想:春休みの最終日、フリーマーケットに行く前に、佐々木(*1)に会う。佐々木がハルヒと握手する。
・古泉がハルヒが佐々木の存在を知って嫉妬でも困惑でもない説明しがたい感覚を得たことを指摘
・結局、新入部員は見つからず
*1…6巻『動揺』の「ヒトメボレLOVER」で中河が話していた変な女。
有名進学校に行った中3の時の同級生。学習塾で知り合った賢い友人(その際、キョンの名前を当てている)。
古泉いわく、魅力的な女性。
第一章
・金曜日。鶴屋がゴールデンウィークに開催される花見大会第二弾(八重桜大会)の招待状を渡し、
源俊頼(みなもとのとしより)の歌を詠む。
・土曜日。駅前で佐々木、橘京子(7巻『陰謀』の朝比奈の誘拐犯。超能力者。)、
周防九曜(すおうくよう)(光陽園学院の宇宙人)に会う(7巻『陰謀』の未来人は欠席)。
ハルヒ達がその3人と対峙。その後、いつも通り市内探索。
・夜、入浴中、女から電話
第二章
α‐1~4
・キョンのことを先輩と呼ぶ知らない女から電話。長門に電話せず。
日曜日。何も起こらず。
β‐1~4
・佐々木から電話。日曜日に話し合うことに。
長門に電話。長門が九曜を「天蓋領域(天頂方向より来たもの)」と命名。
・日曜日。雨。喫茶店へ。佐々木、橘京子(超能力者)、九曜(宇宙人)、藤原(未来人)に会う。
・橘京子がキョンに『神人』がいない安定的な佐々木の閉鎖空間を見せ、
不安定なハルヒではなく、安定的な佐々木を神にした方が望ましいと話す(藤原と九曜は我関せず)。
・ウェイトレスの喜緑vs九曜
第三章
α‐5、6
・月曜日。長門が九曜を「天蓋領域(天頂方向より来たもの)」と命名。
・入団希望者が部室に10人ほどやって来る
・いつの間にか11人が12人に。1人の1年女子に既視感を覚える。
β‐5、6
・月曜日の授業中の回想:中3時における佐々木との会話。佐々木が恋愛を精神病と見なす。
・谷口と国木田が佐々木について話す
・ハルヒが入団試験の開催を企画
・長門が熱で学校を休んでいたことを知り、皆で長門家へ
10巻『涼宮ハルヒの驚愕(前)』…時系列は高2の4月
第四章
α‐7
・普通に一日を終える
β‐7
・長門の看病:ハルヒによる美味な雑炊と野菜スープ(ハルヒの母は味覚音痴で働きに出ている)
・踏切で九曜vs急進派の朝倉vs穏健派の喜緑
第五章
α‐8
・火曜日。新団員の影響で、ハルヒによる閉鎖空間の発生が止む。
入団希望者が6人(男3人、女3人)に減る。ハルヒが入団試験(ペーパーテスト)を行う。
β‐8
・火曜日。長門の影響で、ハルヒによる閉鎖空間の発生が止む。
キョンが佐々木達がいる喫茶店へ行き、九曜に長門への攻撃を止めるよう要求。
対して藤原がハルヒの能力を佐々木に移譲するよう要求し、
すべてを既定事項と見なし、未来人の優位性を誇示する。
・キョンと佐々木と九曜が谷口と国木田に会う。
ここで谷口が九曜と付き合って別れていたことが明らかになる(4巻『消失』を参照)。
九曜がクリスマスに腕時計を贈ってくれた谷口に感謝し、「(谷口をキョンと)間違えた」とキョンに言う。
第六章
α‐9
・水曜日。ハルヒが珍しく弁当を作る(彼女の母は味覚音痴)。
・放課後。入団希望者が5人(男3人、女2人)に減る。
ハルヒが入団最終試験(マラソン大会)を行う。結果、女子1人だけ合格(例の既視感を覚えた子)。
・α‐1で電話してきた渡橋泰水(わたはしやすみ)と判明
β‐9
・水曜日。古泉がキャッチボールをしながら、橘らがハルヒを偽りの神、佐々木を真の神と見なしていると推測し、
ハルヒのみならずキョンも中心人物であることを指摘する。
・佐々木が家に来てキョンが解決の鍵を持っていることを指摘し、自身の学生生活について相談しかける
11巻『涼宮ハルヒの驚愕(後)』…時系列は高2の4月(5月)
第七章
α‐10
・木曜日。渡橋ヤスミが部室でお茶くみとサイトの更新をする。
そして「MIKURUフォルダ発見!」というメッセージを紙飛行機で伝え、帰る。
古泉によると、ヤスミはハルヒが望んだ存在。キョンによると、ヤスミはハルヒか佐々木に近い。
・渡橋ヤスミがキョンの家に行き、かつてのハルヒが言いそうなことを話す
β‐10
・木曜日。部室へ(ハルヒと朝比奈は長門の看病。古泉は欠席。)。
そこにいた1年女子がキョンに会い、「また会いましょう」と言い、立ち去る。変わった花を残して。
・佐々木がキョンに電話で明日が決戦日であることを話し、未来を彼に託す
第八章
α‐11
・金曜日。下駄箱を開ける際、ヤスミからの手紙を発見。
・ヤスミが北高の生徒ではないことを長門が明かす
・ヤスミが部活を休む。変わった花を残して。
・約束通り、午後6時に部室に戻り、ヤスミに会う。誰かが部室のドアをノックする。
β‐11
・金曜日。佐々木達に会い、タクシーで北高にとんぼ返りし、佐々木の閉鎖空間へ。
第九章
α‐12~14
・部室にもう1人のキョン、藤原、橘が入ってくる。ヤスミがキョンともう1人のキョンを融合。
β‐12~14
・部室に行き、もう1人のキョンとヤスミに会う。ヤスミがキョンともう1人のキョンを融合。
最終章
・世界が2つに分裂していたことを知る。2人分の記憶を持つようになる。
・ヤスミが消える
・藤原が既定事項を外れたことに気づき、焦る
・ハルヒの閉鎖空間と佐々木の閉鎖空間がせめぎ合う
・九曜が現れる。融合した古泉と、朝比奈(大)もやって来る。
・藤原があくまで未来を固定させようとする朝比奈(大)に激昂し、
彼女に「あなたを失いたくないんだ。……姉さん」と言う。
(彼の目的は、ハルヒの力を佐々木に移すことで、歴史を改変し、姉の朝比奈が存在する世界を選ぶこと)
朝比奈(大)がそれを否定し、「失われた過去は……人は……二度と戻ってこないのよ」と言う。
・藤原が九曜にハルヒの殺害を命ずる。九曜がハルヒを呼び寄せ、3階の上空から落下させようとする。
・キョンが宙を跳び、ハルヒを抱き留める。『神人』が2人を受け止める。ヤスミが再び現れ、別れを告げる。
・大学の芝生へ。そこで大人びたハルヒに会い、「キョン。またね。」と言われる。
・ハルヒの部屋のベッドへ。そこでハルヒに会い、今が5月某日の深夜であることを確認。
外にいた古泉(・長門・朝比奈)が窓に向かって投げたSOS団結成一周年を祝うプレゼントを受け取り、
状況を察し、それをハルヒに渡す。
・元の世界へ
エピローグ
・日曜日。自宅に長門と古泉を呼び、いろいろ聞く。結果、以下を得る。
・九曜は長門への干渉を一時的に中断した(=長門の回復)。長門の監視対象となった。
・藤原はハルヒのせいで時間線が途切れたため、もう戻って来られない。
橘京子はしばらく隠遁。
・ヤスミの正体はハルヒが無意識に生み出した、もう1人の自分(現在はハルヒの中に戻っている模様)。
「渡橋泰水→watahashi yasumizu→watashiha suzumiya→私は涼宮」という推理より得る。
・ハルヒは無意識に世界を分裂させることでキョンと長門を守ろうとした。
本来はβルートのみだったが、介入してヤスミがいるαルートを作り上げた。
・時間(未来)は分裂と統合を繰り返しながら進んでいく。分裂したまま進む可能性もある。
おそらく朝比奈(大)の目的は、分裂状態の時間の流れを統合し、自分の未来に誘導すること。
・ヤスミが残した花は新種
・週明け。月曜日。ヤスミがまだ中学生だったことをハルヒが明かす。結局、新入団員はゼロに。
・放課後、駅前で佐々木に会う。
佐々木が二週間ほど前に告白されたことについてキョンに相談(10巻『驚愕(前)』のラストを参照)し、
ハルヒと同じ小学校に通っていたことと、小学校卒業後に家庭の事情で名字が変わったことを明かす。
そして自分をあるがままに受け入れてくれた人がキョンだけだったことを告白し、立ち去る。
・火曜日。国木田がキョンとハルヒがお似合いであることを示唆し、その2人に干渉できる鶴屋を天才と見なす。
そして鶴屋に憧れて北高に入学したことを明かす。
・ハルヒが「なんとなく、この学校に来た」と話し、一首詠む
・放課後、ハルヒがヤスミの髪留めを見つけ、中学に入った頃になくしたものと見なす。
そして鶴屋家の花見パーティにおける余興を企画(9巻『分裂』第一章を参照)。
初回限定版特製小冊子『涼宮ハルヒの秘話』の「Rainy Day」…時系列は中3の9月
・プールで佐々木、国木田と話す。途中で洋楽の話になる。
・岡本が登場(9巻『分裂』のp.65を参照)
・昼休み、佐々木と進路について話す
・放課後、佐々木を自転車の荷台に乗せて塾へ。その途中で雨に降られ、雨宿りする。
その際、佐々木の濡れて透けている服を見て、彼女が女であることを意識。
・佐々木の「やれやれ」という口癖がうつる
~考察・感想~
・総評
キョンがハルヒの大切さに気づくまでを描いている作品だと思った。
その点では、『憂鬱』や『消失』と同じ構造である。
この2人がベストカップルになることが長門・朝比奈・古泉の最終目標なのだろう。
実際、大学の芝生で大人びたハルヒに会っているし、その傍にキョンもいる(11巻『驚愕(後)』の最終章を参照)。
この大学時代に話をいかに繋げるか――作者もそれで悩んでいるのだろう。
物語というものは、拡張するのは簡単だが、その拡張した話を収斂収束させるのは非常に難しい。
作者もそれで詰まってしまったのだと思う。
しかも本作の場合、パラレルワールドを認める解釈(多世界線解釈)をSF要素として採り入れているので、
構想力がないと綺麗に終わらない。おまけに登場人物が増えたので、局面が複雑化している。
以上の恋愛の問題とSFの問題を同時に解決できるかどうかが、今後の課題になるだろう。
・佐々木について
佐々木は村上春樹の小説に出てくる人物に似ている。
小難しい喋り方をする子で、何に対しても達観している。「人生はままならない」という諦観や虚無感がある。
それでいて、自分の恋愛(=キョンへの好意)に関しては不器用である。
また、彼女は(結果的には)キョンをハルヒの方に導いている。その意味で、物語の案内人になっている。
・結局、キョンと佐々木の関係はどうなったのか?
圧倒的な存在、ハルヒがいるので、佐々木の方が自ら退いた模様。
とはいえ、自分をあるがままに受け入れてくれた人がキョンだけだったことをラストで佐々木が告白しているので、
どの程度かは分からないが、好意があったのは間違いない。
「今回は縁がなかった」といったところか。結局、親友にとどまる関係で終わってしまった。
・未回収の伏線
鶴屋家の壺と特殊な金属棒(7巻『陰謀』のエピローグ)が気になる。
ついでに言えば、鶴屋自身の正体も気になる。彼女は本当に一般人なのだろうか。