レイ・カーツワイルの『ポスト・ヒューマン誕生』のメモ書き
Ray Kurzweil(レイ・カーツワイル)(アメリカの発明家)
『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』
NHK出版、2007年
※元の『The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology』は2005年に出版された
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技術的特異点とは
「テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、
人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうような、来るべき未来のこと」(16ページ)
2045年。コンピュータ(機械)が人間の脳すべての性能を超えるとき。(3章)
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収穫加速の法則(2章)
テクノロジーは指数関数的に(加速度的に)成長する。
線形的(直線的)に成長しているわけではない。
※https://ja.wikipedia.org/wiki/技術的特異点
ムーアの法則
集積回路上のトランジスタ数は2年で2倍になる。これは指数関数的な成長なので上記の収穫加速の法則と合致。
※https://ja.wikipedia.org/wiki/ムーアの法則
コンピューティングの指数関数的成長(84ページの図17)
スパコンはこの10年以内(2005~2015年)に人間1人の脳の性能に達する。(3章参照)
※彼の予言どおり、2012年に日本のスパコン、京(けい)が達成した
そして2045年に人間の脳すべての性能に達する。(3章参照)
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デフレは悪いことか?(103ページ)
経済学者は技術の向上に伴うデフレを懸念する。
しかし消費者は飽くことを知らない欲求を持っている。
たとえば、半導体業界は年間40~50%のデフレに苦しんでいるが、総収入は過去半世紀の間、毎年17%も上昇してきた。
経済が拡大していることを考えれば、デフレは心配には値しない。
※大学で経済学を学んでいた私としては、かなり興味深い思想。
デフレを悪いものと見なしていないので、反リフレ派に近い。
また、ラディカルな考え方であることを考えれば、
おそらくミルトン・フリードマンのような新自由主義者と相性がよい。
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人間の脳のコンピューティング能力(3章)
多く見積もっても10の16乗(1秒間に1京回計算する)程度
※これは2012年にできた日本のスパコン京(けい)の演算能力
(浮動小数点数演算を1秒間に1京回=10ペタフロップス)と同じ
人間の記憶容量
10の13乗ビット。
2018年ごろには、10の13乗ビットのメモリが1000ドルで買えるだろう。
※1ビット=0.125バイトなので10の12乗バイト(1テラバイト)ぐらい
特異点の期日
2045年。1000ドルで買えるコンピューティングは1秒間で10の26乗回計算するようになる。
これは人間の脳すべてに匹敵(84ページの図17参照)。
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人間の脳はコンピュータとは違うのか?(4章)
・脳の回路はコンピュータよりも遅い
・しかし脳は超並列処理ができる。
また、矛盾した考えも受け入れるため、多様なアイデアを生み出せる。
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GNR(5章)
遺伝学(G)…情報と生物学の交差点
ナノテクノロジー(N)…情報と物理世界の交差点
ロボット(R)…強いAI(人間の知能を超える人工知能)
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さまざまな批判とその反論(8章)(個人的に気になった所だけメモ書きした)
Q技術が指数関数的に成長すると、途中で資源が枯渇する
A必要な資源もまた指数関数的に小さなものになるので大丈夫
Qハードウェアが指数関数的に進歩しているが、ソフトウェアは進歩するのに時間がかかる
Aたしかにソフトはハードよりは遅いが、それでも加速していることには変わりない
Qコンピュータは人間のようなアナログ処理ができない
A適用できる。そのうえどんな精度でもシミュレートできる。しかしその逆はできない。
Q哲学者のジョン・サールの「中国語の部屋」によると、コンピュータは従っているだけで理解していない
A同語反復にすぎない。コンピュータは理解力を持てないという結論を前提にしているから。
たとえば、私は英語がわかるが、私の脳のどの神経細胞も英語を理解していない。