脂質・脂肪の話
【脂質・脂肪の話】
~脂肪酸の分類~
脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸(1つ以上の不飽和の炭素結合を有す脂肪酸)に分かれる。
前者は肉類(特にラード(豚脂)や牛脂)、バター、
アブラヤシから作られるパーム油、やし油(ココナッツオイル)など。
後者の不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分かれる。
前者はω(オメガ)9系で、オレイン酸(オリーブオイルなど)。
後者は必須脂肪酸(体内で合成されず、必ず摂らなければならない脂肪酸)で、ω6系とω3系に分かれる。
ω6系はリノール酸(植物油や加工食品など)。
ω3系はαリノレン酸(エゴマ油、アマニ油など)と、
ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)(魚類など)。
※脂質は1g9kcal
-----
~トランス脂肪酸とは~
・シス(cis)型ではなく、トランス(trans)型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸
・自然のトランス脂肪酸:反芻(はんすう)動物(牛、ヤギ、羊など)の脂肪
人工のトランス脂肪酸:水素添加や高温・加熱処理の際に生じる
→代表例はマーガリン、ファットスプレッド、ショートニング
・心臓病のリスクが高まるため、摂らない方がよい。
(2016年のWHOによるシステマティック・レビュー(メタアナリシス)あり)
2003年にWHO/FAOはトランス脂肪酸の摂取量を全カロリーの1%未満にするよう勧告した。
摂取カロリーを1日1900kcalとすると、1%は19kcalで、脂質は1g9kcalなので、1日約2グラム。
・日本は欧米と違い規制なし→表示義務なし→各自で注意するしかない
※実は飽和脂肪酸の多量摂取も心臓病のリスクを高める。
(2016年のWHOによるシステマティック・レビュー(メタアナリシス)あり)
2003年にWHO/FAOは飽和脂肪酸の摂取量を全カロリーの10%未満にするよう勧告した(トランス脂肪酸の10倍)。
・不飽和脂肪酸の多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)で改善可
参考
wikipediaのトランス脂肪酸(https://ja.wikipedia.org/wiki/トランス脂肪酸)
wikipediaの飽和脂肪酸(https://ja.wikipedia.org/wiki/飽和脂肪酸)
農林水産省「すぐにわかるトランス脂肪酸」(http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru)
wikipediaのバター(https://ja.wikipedia.org/wiki/バター)
wikipediaのマーガリン(https://ja.wikipedia.org/wiki/マーガリン)
-----
2003年の世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)による栄養摂取目標の範囲(食生活指針)
脂肪は15-30%
飽和脂肪酸は10%未満
多価不飽和脂肪酸は6-10%
ω-6脂肪酸は5-8%
ω-3脂肪酸は1-2%
トランス脂肪酸は1%未満
一価不飽和脂肪酸は差分
炭水化物は55-75%
糖類(砂糖などの二糖類、単糖類、はちみつ、シロップ、果汁)は10%未満
たんぱく質は10-15%
コレステロールは1日300mg未満
塩分(ナトリウム)は1日5g未満(1日2g未満)
野菜と果物は1日400g
※パーセントは総エネルギー(カロリー)に対するもの
参考
wikipediaの食生活指針(https://ja.wikipedia.org/wiki/食生活指針)
Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases
(http://www.fao.org/docrep/005/ac911e/ac911e00.htm)の中の5.1 Overall goals